女子 #日記

思いやりながら、性格は悪く

法学部法律学科4年  北村日向子

日頃よりお世話になっております。
法学部法律学科4年の北村日向子です。

夜には鈴虫の声が耳に入る季節になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

『言葉は刃物……使い方を誤ると質(たち)の悪い凶器に変化(へんげ)する……相手の心を察知して慎重に使わねばなりません……たとえそれがどんな相手であろうとね……』

これは、私の好きな『名探偵コナン』の原作漫画に登場する言葉です。また、この言葉は劇場版の作中にも用いられており主人公の江戸川コナンにとって心に強く残っている言葉であることがわかります。

この言葉がどのような場面で使われたのかを詳しく説明すると、物語のネタバレになってしまうので、ここでは控えたいと思います。ただ、簡単に言えば、言葉は人を励ましたり、勇気づけたりすることができる一方で、使い方を誤れば相手を深く傷つけ、時には取り返しのつかないほど精神的に追い詰めてしまうことがあり、使い方には気を付けなければならない、という意味です。
同じことを伝えるとしても、言葉の選び方や伝え方によって、相手の受け取り方は大きく変わります。
だからこそ、言葉は面白く、そして難しいものなのだと思います。

そして私は最近、バレーボールをしていて、この「言葉」について考えることが増えました。バレーボールは、ラリーが続く一方で、点が入るたびにプレーが止まり、コート上の選手が集まるという特徴があります。
その短い時間に、次の一本に向けて何を話すのか。
自分たちが得点したときには、「ナイス!」と喜び合う。良いプレーが出れば、そのプレーを称え合う。

では、失点したときはどうでしょうか。
ミスが起きた直後に、「今の取れたでしょ」「なんでそのボールに反応できないの?」と言うこともできるかもしれません。
しかし、それによって次の一本を取れるようになるのかと考えると、必ずしもそうではありません。
「次、一本取ろう」「大丈夫、切り替えよう」
と精神的に励ます言葉の他に
「無理に決めに行かず、確実に返球することを意識しよう」
「ブロックフォローもっと全体的に詰めよう」
など「次はこうしよう」と具体的な方針を立てることができます。

同じ得点、失点という事実を前にしても、どんな言葉を選ぶかによって、その後のプレーは変わるかもしれません。もちろん、ミスをそのままにしてはいけません。何が原因だったのかを考え、改善する必要があります。ただ、それを伝えるタイミングや伝え方には気をつけなければなりません。大切なのは、その言葉が「誰かを責めるための言葉」になるのか、それとも「次の一本を取るための言葉」になるのか。
私は、仲間にかける言葉だからこそ、相手の気持ちを考えて選びたいと思っています。

……と、ここまで書いておいて少し矛盾するようですが、バレーボールにはもう一つ、「相手を思いやる」こととは正反対のような考え方があります。
それは、

「バレーボールでは性格は悪くあれ」

ということです。これは私が中学生の時にコーチから言われた言葉です。もちろん、本当に性格が悪くなれという意味ではありません。相手の嫌がることを徹底的に考え、行動するという意味です。
例えば、相手のエーススパイカーが十分な体勢でスパイクを打てないように、サーブを前方に落とす。相手のブロックが低ければ、そのブロックの上を狙う。相手ディフェンスに穴があれば、そこを狙う。相手が嫌がることを考え、相手が一番困る選択をする。

今、相手が一番されたくないことは何なのか。
「相手を思いやる」とは、必ずしも相手に優しくすることではないのかもしれません。むしろ、相手をよく見ることなのだと思います。相手が何をされたら嬉しいのか。何をされたら嫌なのか。今どんな気持ちなのか。次に何をしてくるのか。相手を理解しようとすることが、味方に対しては思いやりになり、相手に対しては戦術になる。そう考えると、バレーボールはなんて面白く、そして難しいスポーツなのだろうと思います。

味方には、次の一本に向かうための言葉をかける。相手には、次の一本を取らせないためのプレーをする。味方には思いやりを持ち、相手には思いやりのないくらいに嫌がることをする。一見すると矛盾しているようですが、どちらにも共通しているのは、「相手を見る」ということなのかもしれません。
だからこそ私は、バレーボールを通して、相手をよく見ることを大切にしたいと思います。

そして、言葉を使うときには慎重に。コートの中では、相手の嫌がることを考える。コートの外では、仲間が前を向ける言葉を選ぶ。『言葉は刃物』という言葉を忘れずに、誰かを傷つけるためではなく、誰かを前に進ませるために言葉を使える人になりたいと思います。思いやりを持ちながら、性格は悪く。私に残された時間は決して長くはありませんが、そんな一見矛盾した選手を目指していきたいです。

弊部は来月10月より秋季リーグ戦に臨みます。3部昇格の目標達成のためには前回の春季リーグとは打って変わって、試合数が少なく、一試合の取りこぼしも許されない緊張感のあるリーグ戦となります。部員一同一丸となって尽力してまいりますので、引き続き温かいご声援のほどよろしくお願いいたします。

長文、乱文失礼いたしました。

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