男子

紙一枚の積み重ね

法学部政治学科3年  今田 匠海

日頃よりお世話になっております。法学部政治学科3年、体育会バレーボール部の今田匠海です。

先日、近畿大学にて行われたKDU Summer Cupに出場してまいりました。他大学の胸を借りながら実戦形式で試合を重ねられる貴重な機会で、チームとしても個人としても多くの気づきを得た遠征となりました。

まず率直に感じたのは、確実に力がついているという実感です。昨シーズンまでなら崩されていた場面で踏みとどまれたり、迷わず選択できるプレーが増えていたり。日々の練習が結果として表れているのを、コートの中で肌で感じられたことは素直に嬉しく、これまでの積み重ねが間違っていなかったのだと背中を押された気持ちになりました。

合宿前、宗雲監督が「チーム全体の底上げ」という言葉を口にされていたことを思い出しました。その時は言葉として受け止めていただけでしたが、今回の遠征でコートに立って初めて、その意味を実感として理解できた気がします。個々の完成度が上がってきているからこそ、逆にチームとしての厚みがまだ足りていない場面がはっきりと見えてくる。一部の選手だけが強くなっても、チーム全体としての力にはならないということを身をもって理解した遠征でした。

このことは、最近取り組んでいるメンタルトレーニングの目標とも重なります。自分は「チームのレシーブを作る存在になる」ことを技の目標の一つに掲げていますが、これは特定の相手やポジションに限定される話ではないはずです。誰と組んでも、同じ熱量で声を出し、指示を送れているか。そしてもう一つ掲げている「褒める」と「締める」を使い分けられる選手という目標も、まさにこの底上げという場面でこそ試されるのだと思います。伸びかけている場面には背中を押す言葉を、慣れで甘さが出ている場面にはあえて厳しい言葉を。この使い分けができて初めて、底上げという言葉に実態が伴うのだと気づかされました。

自分自身が結果を出すことと、チーム全体を強くしていくことは、切り離して考えるものではありません。むしろ両方に本気で向き合ってこそ、リーグ戦を戦い抜けるチームになれるのだと思います。個人としての手応えに満足するのではなく、その手応えをどう周りに還元していくか。そこまでやり切ることが、今の自分に求められている役割だと感じています。

もう一つ、今回の遠征で痛感したことがあります。指示の声や状況を共有する声を意識的に出し続けることは、想像以上に体力を消耗するということです。しかも厄介なのは、チームが苦しい流れになっている時ほど、その流れを変えるためにさらに声を出す必要があり、余計に体力を使うという点です。声を出す体力が切れかけている時こそ、本当は声を出さなければいけない場面である。この矛盾に何度も直面しました。声を出し続けるための体力は、肉体的な体力だけでは足りません。苦しい時にこそもう一段声を出そうと踏ん張れる精神的な体力もあわせて鍛えていかなければ、自分の役割を最後まで果たしきれないのだと感じています。

今回の遠征で得た実感と課題を、一気に埋めれたら最高ですが、そう簡単ではないことも分かっています。紙一枚を重ねていくように、今日できることを一つずつ積み上げていく。それしかないと思います。派手さはなくても、その積み重ねの厚みがいつか力の差になって表れることを、今回の遠征で実感できました。だからこそ、明日からもまた一枚、積み重ねていきます。

引き続き、慶應義塾体育会バレーボール部への応援を、何卒よろしくお願い申し上げます。

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