男子

アンビバレント

経済学部3年  石田玲之

日頃よりお世話になっております。3年経済学部の石田玲之です。時の流れとは早いもので9月に始まった私にとって初めての関東一部での試合は残すところあと1試合、専修戦を残すばかりとなりました。今回はリーグ戦を戦っていく中で感じた個人のエゴとチームの協力という一見矛盾するテーマを綴ってみようと思います。

「チームのために」だとか「One for all」の様な言葉はリーグを戦う中でよく耳にする様になりましたが、これは耳触りは良いものの時に残酷だなと感じます。
チームの勝利を最優先するならば自分より優れた選手が試合に出ることを喜ぶべきなのかもしれません。しかし、日々の練習に心血を注いできた選手がそれを心から受け入れることは簡単ではありません。
自分が試合に出たいという欲求は果たして利己的で抑えるべきものなのでしょうか。

私は必ずしもそうではないと思う。

現在、私は怪我で離脱している中島(経2)に代わり、ありがたいことにミドルブロッカーとして試合に出場する機会をいただいています。しかし同じポジションには4年生の先輩や3年生の同期もいて、限られた出場機会を巡って競争する立場にあります。
その先輩や同期は私にとって単なるライバルではありません。普段から仲良くしてもらい、競技面でも人間的にも多くのことを学ばせてもらっている、心から尊敬するチームメイトです。

彼らは入部が遅く技術も経験も劣る私に対して足りていない部分を今も一つ一つ丁寧に教えてくれています。時には自分の練習時間を削ってまで私の練習に付き合ってくれたり、オフや練習後に遊びに行ったりと良きチームメイトでありかけがいのない友人でもあります。
特に4年生の先輩はもうすぐ引退を迎えます。
残された時間を考えれば少しでも長く一緒にプレーしていたいし、悔いのない競技生活を送ってほしい。しかしそれと同時に、コートに立つのは自分でありたいとも思っています。
尊敬していて仲の良い先輩だからこそ、その気持ちには複雑なものがあります。

ただ、先輩に0から多くのことを教わってきた自分が競争することを遠慮するのは、本当に敬意を払っていることになるのでしょうか。
私はそうは思いません。
先輩から受け取ったものを自分の力に変え、いつかその背中を追い越せるよう努力すること。それもまた、一つの恩返しの形なのではないかと思います。

そもそも、チームスポーツには同じチームの中にも「競争」と「協力」という一見相反する二つの関係が存在します。私たちは共通の目標に向かって協力する一方で限られた出場機会を巡って競争しています。
個人の利益だけを考えればライバルの成長は必ずしも望ましいものではありません。しかし、チーム全体の勝利を考えれば一人でも多くの選手が成長することが望ましい。

では、チームのために個人の競争心を抑えるべきなのでしょうか。
私はむしろ互いに負けたくないという思いが根底にあるからこそチームは強くなるのだと考えています。
自分より優れた選手がいるからこそ自分の未熟さに気づくことができるし、追い越したい存在がいるからこそ、現状に満足せず努力を続ける事ができます。そして、互いに高め合うことで個人の成長がチーム全体の成長へと繋がることになります。
もちろん競争心が相手の失敗を願うことに変わってしまえば、それはチームにとってマイナスに働くことになります。大切なのは、相手を引きずり下ろすことではなく、自分自身が成長することで相手を上回ろうとする姿勢だと思います。
今の私に与えられている出場機会は偶然による部分が大きいと思います。しかし、この機会を一時的な代役で終わらせるのか、実力で勝ち取った居場所へと変えられるのかは、これからの自分次第です。

仲間の成功を願うことと、自分がその仲間に勝ちたいと思うことは、相反する様に見えてどちらも大事でどちらも決して捨ててはいけない感情です。
現在怪我をしている中島(経2)には万全の状態でコートに戻ってきて欲しい。引退を控えた先輩にも残された時間で最高のプレーをして再びコートに戻ってきて欲しい。そして同期とも一緒にコートに立ちたい。
そのうえで私は彼らに負けたくないと強く思います。このアンビバレントな感情をどちらか片方に割り切る必要はないのだと思います。リスペクトを持てる相手だから負けたくないし、負けたくないと思えるから尊敬できる。そんな関係をこれからも大切にしていきたいです。

真の協力とは競争を遠慮し放棄することではなく、互いが本気で競い合える関係を守ることなのだと思います。
先輩への感謝も、仲間への敬意も、コートに立ちたいという執着も、そのすべての感情に揺られ振り回されることを今は楽しみながら残りの専修戦、全カレを戦い抜きたいと思います。

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