男子

苦難上等 好むものなり修羅の道

法学部政治学科2年  今田 匠海

日頃よりお世話になっております。
法学部政治学科2年の今田匠海です。

暑さが日ごとに増してまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
夏本番を目前に、体調を崩しやすい時期でもありますので、どうかご自愛ください。

まず、6月8日(日)に開催されました第89回早慶バレーボール定期戦において、ご多忙の中、会場まで足を運んでくださり、力強いご声援を送ってくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。また、開催に向けて多大なるご支援・ご尽力を賜りました卒業生・関係者の皆さま、そしてその舞台で全力を尽くした早慶両校の現役部員にも、改めて深く感謝申し上げます。

今回で2度目の出場となった早慶戦でしたが、緊張感と高揚感に包まれた独特の空気の中でプレーできたこと、そして何よりもあたたかな声援を肌で感じながらコートに立てたことは、私にとって何ものにも代えがたい時間となりました。今でも、ふとあの光景を思い出し、「もう一度戻りたい」と思ってしまうほどです。それほどまでに、濃く、充実した経験をさせていただきました。
大会運営に携わってくださったすべての方々、本当にありがとうございました。

さて、前回の活動日誌では、練習前後の課題共有やフィードバックの時間を通して学んだ「言語化の重要性」について書かせていただきました。今回は、そこから自分の中に生まれた変化、そして言語化を支える“パートナー”とも言える「客観視」について述べたいと思います。多少散文的で読みづらい部分もあるかもしれませんが、自分なりに考えをまとめた記録として書かせていただきます。

プレーを向上させるためにできることは、本当にさまざまです。ひたすら練習量を積んで身体に感覚を覚え込ませること。トレーニングによって瞬発力や体力を強化すること。そして、上手な選手のプレーを見て学ぶこと。
高校時代の私は、まさにこうしたアプローチを繰り返すことで、少しずつ成長してきました。

しかし、大学に入ってからは、それだけでは太刀打ちできないようなスター選手たちと数多く出会いました。その実力差に圧倒されつつも、「絶対に負けたくない」という思いから、私は“プレーの質”を根本から見直す必要性を強く感じました。
そこでたどり着いたのが、「動きを言語化する」というアプローチでした。

私は、練習の中で「意識するポイント」「それができていたかどうか」「次にどうするか」といったことを毎日丁寧に言語化し、自分の中で整理するようになりました。この取り組み自体は間違っていなかったと思いますし、実際に効果も感じていました。

しかし、それでも調子には波がありました。
「最近、サーブカットが返らないから、とにかく面を正しく作って、ボールをしっかり面に当てよう」。私は不調のとき、毎日この言葉を自分に言い聞かせ、練習でもそればかりを意識していました。それでも、上手くいかない日がある。その繰り返しの中で、次第に「本当にこの道筋で合っているのだろうか」と疑問を抱くようになっていきました。

そんなある日、練習中に身体が驚くほど自然に動き、すべてがうまくいくという、“ゾーンに入った”ような感覚を経験しました。そのとき私は、特別なことを意識していたわけではなく、ただ来たボールに対して、これまで身体に染み込ませてきた動きをぶつけていただけでした。

そして、ふと気づきました。「あれ、毎日意識していたこと、もう無意識でもできるようになってる」と。
この気づきは、自分の中で大きな転換点となりました。

それまでの私は、「何を意識するか」という“入力”にばかり重きを置いていましたが、それ以降は「何ができていないのか」「以前の自分と比べてどこがズレているのか」といった“出力の確認と修正”に目を向けるようになったのです。
調子が悪いときには必ず理由があります。その原因を見極めずに、「とりあえず最低限を意識しよう」と考えても、根本的な解決にはならないどころか、視野を狭めてしまうこともあると感じるようになりました。

だからこそ私は、最も調子が良かったときの自分のプレーを丁寧に言語化し、それを基準にして、現在の自分と照らし合わせながら、一つひとつ足りない部分を修正していくという方法を取るようになりました。
このアプローチこそが、プレーのムラをなくし、安定して高いレベルのパフォーマンスを維持するために必要不可欠だと感じています。

そして、そのプロセスを支えるのが「客観視する力」です。プレー中の自分を、まるで他人を見るように冷静に見つめ、分析し、言葉に落とし込んでいく。この作業こそが、再現性の高いプレーを生むカギだと実感しています。

たとえば、足の動き、手の角度、視線の向き、頭の中で何を考えていたか……こうした一つひとつの要素を丁寧に観察して言語化することができれば、ゾーンに近い状態を意図的に再現することも可能になります。

また、客観視の精度をより高めるために、自分と似たスキルやプレースタイルを持つロールモデルの存在も非常に効果的です。自分に近い選手を参考にすることで、理想のプレー像がより明確になり、自分との差を具体的に認識できるようになります。それは、自分のプレーを深く理解し、より高いレベルへと成長する大きなきっかけになると感じています。

このように、「言語化」と「客観視」という2つの視点を持てたことで、ただ量をこなすだけでは届かなかった領域に、少しずつ手が届くようになりました。
高校時代のようにひたむきに努力することももちろん大切ですが、大学という高い競技レベルの中では、「自分を知り、修正する力」が何よりも重要だと、改めて実感しています。

最近は特に、まだまだ上手くなれる実感があるからこそ、毎日練習が楽しみで、自分を試せることにワクワクが止みません。悔しさも焦りも全部、もっと成長できる証だと思えるからこそ前を向けます。

「苦難上等 好むものなり修羅の道」(ロロノア・ゾロ)

これからも、成長を楽しむことに貪欲に精進してまいります。

ここまで長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。自分なりの気づきや成長を、少しでも共有できていたら嬉しいです。

今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
乱文失礼いたしました。

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