お世話になっております。
経済学部4年、渉外主務の河村歩奈です。
関東も梅雨入りし湿度の厳しい日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先日6月8日(日)、日吉記念館にて第89回早慶バレーボール定期戦が開催されました。
過去最多となる3,325名もの観客の皆様にご来場いただき、文字通り「一生忘れられない」1日となりました。
改めまして、当日足を運び、会場を揺らすほどの大声援を送ってくださった皆様、開催に向けて多大なるご支援・ご協力をいただいた卒業生・関係者の皆様、そして何よりも早慶両校の現役部員の皆へ、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
私が入部する前、たしか井出口はるなさん(2021年卒)が渉外主務を務められていたときのことだったと思います。慶應バレー部のSNSを見る中で、印象に残った言葉があります。それは当時の慶應バレー部スタッフ陣が掲げていた「日本一のスタッフ」という目標でした。
スタッフとして入部してから、その言葉がずっと頭の片隅にありました。
日本一のチームにいるスタッフが、日本一のスタッフなのか? そういうわけじゃない。「スタッフ」として日本一だったら、それは、日本一のスタッフである。
では、どうすれば日本一のスタッフになれるのか?その問いに向き合いながら、私なりにたどり着いたヒントがあります。それが、「大学バレー日本一の大会」をつくりたい、というものでした。そしてこの「日本一」を分解したときに、実現に必要な要素として以下の3つがあると考えました。
①日本一の試合内容
②日本一人を動かす
③日本一お金を動かす
①の試合内容は選手の領域であって、スタッフとして関われるのは後者の2つです。だからこそ、私はこの2つに全力を注ぎ、挑戦を重ねてきました。1年次から早慶戦運営に携わったその集大成が、今年の早慶戦だったと思っています。
この活動日誌では、4年間の早慶戦運営を振り返りながら、「早慶戦」への思いを綴らせていただきます。「早慶戦」が自分にとってどれほど大きなものだったか、少し長くなってしまうかもしれませんが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
〈1年次〉
渉外業務に携わり始めたのは、早慶戦のわずか1ヶ月前でした。そのため、本格的に運営に関われたという実感は、正直あまりありません。そんな私の心に深く刻まれているのが、早慶戦の3週間前に行われた入替戦後のことです。
関東1部リーグで4勝をあげながらも、大混戦の末に入替戦に回ることとなり、相手は二部リーグ2位の国際武道大学。結果は敗北、そして二部降格が決まりました。その直後、控え室で耳にした言葉が、私の心に深く残りました。
項垂れる上級生よりも先に控え室へ戻る1・2年生。その中で聞こえたのは、「二部に落ちたのに早慶戦なんてやりたくない、出たくない」という言葉でした。あのときの胸が締めつけられるような感覚は、今でも忘れられません。自分自身の無力さを痛感し、悔しくて、情けなかったです。でも、この言葉はまだお客様気分だった私を一気に引き戻し、「絶対に出たいと思ってもらえる舞台にしたい」そう思うきっかけになりました。
そして迎えた当日。
慶應が第1セットを奪った瞬間、鳥肌が立ちました。観客の熱気で揺れる会場、その光景は今でも鮮明に思い出せます。結果はフルセットの末に惜敗しましたが、この3,000人をも超える観客を収容した満員の早稲田アリーナでの早慶戦が、私の中で「目指すべき早慶戦」の基準となりました。
〈2年次〉
慶應開催。前年秋から準備を進めていた厳さん(2024年卒)が、「もっと早く準備を始めるべきだった」と何度も口にされていたのが印象に残っています。この年から本格的に運営に関わり、私は物販リーダーを任されることになりました。人生初の企画書執筆、OBOGの皆さんへアドバイスを伺いに行くなど、準備期間は「責任が人を育てる」という言葉を体感する連続でした。
当時主務であった敏貴さん(今田・2024年卒)、渉外主務であった厳さんの主導で、チケットの一部有料化やイベントの充実など、新たな取り組みが次々と実現しました。時には社会人をも巻き込んで夢を現実にしていくお二人の姿から、「熱意は、他者の熱意を引き出す原動力になる」ということを学びました。夢の見方、そしてその叶え方を教えていただきました。
当日は雨にもかかわらず、約2,900名の方にご来場いただきました。女子戦中は受付ブースに立ち続け、男子戦直前にようやくフロアへと向かいました。そこから見上げた満席の観客席、応援指導部主導のもと歓声で会場が揺れる、忘れることはできない光景です。
そしてこの年の挑戦が、次の挑戦の土台になりました。「挑戦は、挑戦を生む」ということを学んだ2年目でした。
〈3年次〉
この年は早稲田開催。2年次の新たな試みを経て、次の課題は「継続性」でした。早慶交互開催である以上、前年の成果が次年度へとつながらなければ、早慶戦の価値を高めていくことはできません。
しかし、その心配は杞憂でした。早稲田主導のもと、全席有料化、会場でのお弁当販売が実現。2,600人を超える観客の皆様にご来場いただき、お弁当も完売。このような素晴らしい成果をあげた早稲田大学の運営メンバーの皆さんに、心から感謝しています。
そしてこの早慶戦で得たのは、数字以上のものでした。それは早慶の枠を超えた信頼関係です。早慶戦実行委員会が一つのチームとして機能し始めた、そんな節目の年であったと感じています。早慶関係なく、同じ目標に向かって同じ熱量で進めたからこそ、価値ある結果が生まれました。「次もやりたい」「また一緒にやろう」と言い合える仲間ができたことが、一番の成果でした。
〈4年次〉
3年次の早慶戦の熱気冷めやらぬ中、運営メンバーで開いた反省会。そこでつくった「やりたいことリスト」は、とんでもない量でした。最初は夢物語のように笑い合っていたことが、1つ、また1つと現実になっていきました。その代表例が、照明・スモーク演出を使った選手入場です。航大(林・商3)なしには絶対に実現できませんでした。本当にありがとう。
私は今年、集客班のリーダーとして、観客動員数に責任を持つ立場でした。後輩たちが懸命に準備してくれる中、自分の持ち場である「集客」に失敗したら、合わせる顔がない。そんなプレッシャーの中、チケットの売れ行きに悩み続けた数ヶ月でした。しかし前日には3,000人近い来場見込みが立ち、心底安堵したのを覚えています。
当日、私は選手入場時のスクリーン担当としてステージ上から観客席を見渡していました。3階席までパンパンの観客席。声援と拍手音が圧となって押し寄せる感覚は、どこか心地よく、一生忘れることはないでしょう。男子スタメン入場で入来(環4)がステージ中央にて右手を高々と掲げた瞬間、すべてが報われた気がして、自然と涙がこぼれました。
試合後、早慶問わず多くの卒業生の皆様方からお褒めの言葉をいただきました。特に昨年主務であった一真さん(細野・2025年卒)と莉黄さん(野崎・2025年卒)に声をかけていただいたとき、「頑張ってよかった」と心から感じました。お二人の期待に応えることは出来たでしょうか?
準備が佳境に入った頃、ある部員(たしか野口か松山だったと思います)が私にこう言いました。
「どうしてもスタメンで早慶戦に出たいです」
この言葉を聞いた瞬間、私は1年生の時入替戦の控え室で聞いた言葉を思い出しました。「出たくない」と言われて、無力感に打ちひしがれたあのときの自分が、3年経った今、報われたような気がしました。
「日本一のスタッフ」になれたかどうか。正直なところ、まだまだだと思います。でも、目指し続けた先にあの景色があったこと、それだけは自分自身を誇ることができます。実際、3,325人という観客動員数は、SVリーグ男子の平均入場者数3,000名、女子の1,200名を上回るものでした。バレーボールの国内大会の中でもトップクラスだったと言っても過言ではないのではないでしょうか。
重ねてになりますが、この大会の成功は、私一人では絶対に実現できませんでした。この4年間のみならず、生きてきた21年間で出会った人々、かけていただいた言葉、そのどれかひとつでも欠けていたら、同じ景色は見られなかったと思います。心より感謝申し上げます。
改めて、全体を取りまとめてくれた柊(山木・文4)。最初から最後まで頼りっぱなしで申し訳なかった。同期の主務が柊で本当に良かったです。
莉子(渡邉・文2)、航大。同じ熱量で最後まで走り抜けてくれてありがとう。準備から当日までたくさん無茶ぶりをしてしまったけど、そのどれもに高いレベルで応えてくれてありがとう。2人のおかげで夢を叶えることができました。
そして、最後まで支えてくれて、忙しい中会場にまで足を運んでくれた家族、高校時代の友人たちにも感謝を伝えたいです。心が折れることなく当日を迎えることができたのはみんなのおかげです。ありがとうございました。
11年ぶりの勝利には届かなかったけれど、絶対王者・早稲田から1セットを奪い取りました。運営面でもこの4年間の集大成と呼べるほど多くの挑戦を実現することができました。「悔いはありません」と、胸を張って言えます。
この最後の早慶戦を心から誇りに思います。
会場に響いた歓声と、選手たちの表情、後輩たちの姿、すべてが宝物です。
来年は観客として、後輩たちの挑戦を見届けられることを楽しみにしています。
長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。
当サイトは、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。
推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。
セキュリティを向上させるため、またウェブサイトを快適に閲覧するため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。
このままご覧いただく方は、「閉じる」ボタンをクリックしてください。