女子 #日記

沖で見えた景色

法学部法律学科4年  野崎 莉黄

平素よりお世話になっております。
Team2024で主務を務めました法学部法律学科4年野崎莉黄です。

最後の試合である慶関戦が終わり早3週間ほど経ちましたが、さほど実感がないまま納会を迎え、正式に引退を迎えました。

引退ブログを読むことが好きな私ですが、いざ自分が書くとなると、まとまりのない文章になってしまいました。
12月11日公開の莉子の(商4)の後輩への愛に溢れたブログとは打って変わって自分語りで大変恐縮ですが、自分の立ち位置に悩む後輩たちに何かを伝えることができればと思っています。最後まで読んでいただければ嬉しいです。

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高校までの私は挫折を経験したことがありませんでした。
幼稚園から高校まで一貫の学校に通って、うち小中高は変わらないメンバーで過ごしてきました。12年間同じ友達と過ごす、そんな狭い世界ではあるけれど本当に恵まれた環境でした。だから挫折なんてものとは縁遠く、文字通りぬくぬくと大学生にまで成長してしまいました。

そんな私が体育会に入ろうと思ったきっかけは、大学入学前から知っていた友達がこぞって「体育会に入る」と言ったから。思い返せばバレーを始めたのも、仲の良かった友達が入部すると言ったから。この10年、特段大きな覚悟でバレーを続ける決断をしてきたわけではありません。
何よりも、中高でやってきたバレーは大学バレーの基礎の基礎にも至らないもの。バレーを6年間やってきた、なんていうのも恥ずかしいくらいでした。

案の定、入部してすぐに部活での自分の立ち位置を思い知り、「あーこれはどれだけがんばっても追いつけない」と思いました。
4年間スタメンはおろかベンチに入ることもできないかもしれないと覚悟して入部しましたが、それでもその実力差に受けた衝撃の大きさは相当なものがありました。

夏。挫折した経験のない私にとっては、出来ない自分に向き合うのが嫌で本当に辛い時間を過ごすことになりました。会堂の暑さも相まって本当に毎日辞めよう、辞めたいばっかり考えていました。自分はチームで練習をしているだけで迷惑なのではないか、何度やってもできない申し訳なさで、バレーが嫌になりました。そんな時でも、チームの最低限すら出来ない私を温かい目で見てくださっていた当時の4年生の先輩には本当に感謝しています。結局、辞める勇気もなく1年生を終えようとした初めての早慶戦。30数年ぶりにセットをとった先輩方のプレーを見て、私もここに立ちたいと思いました。バレー部に入ってできた初めての目標でした。

そこから、「2年ではベンチに入る」そして「3年でスタメンになる」という2年計画の目標を立てました。

でも始まったTeam2022、全く私がベンチに入れる見込みはありませんでした。なにせ、どのプレーもチームの1番下。でもたった1つだけ人並みにできたサーブに懸けてみようと思いました。春休み、リベロに転向した莉子と互いの目標を叶えるために毎日50本、練習後にサーブサーレの練習をしました。努力する、とはこういうことだと莉子に教えてもらいました。
そして2年生の春、秋リーグでは何試合かでベンチ入りをさせていただきました。4年間ユニも着れないかもしれないと覚悟した私にとっては思わぬチャンスでした。出番を待つ緊張感、コートに入るとスタメンが喜んで迎えてくださったこと、同じく1本に懸ける先輩方の覚悟を1番近くで見ることができたこと。貴重な経験をさせていただきました。直前に怪我をするもなんとか出場できた早慶戦では、サーブミスをしてしまい涙が出るほど悔しかったです。でも、来年もここに立ちたいと思えたモチベーションになる試合になりました。

3年生。スタメンを目指しました。
結果は散々。いつも3番手で、「あとちょっと」と言われ続けました。3年生、上級生としてチームの幹部としてチームの勝利を本気で目指さなきゃいけないのもわかってる、でもそんな気持ちになれないことだって沢山ありました。勢いよく試合に向かっていく同期が羨ましくて。チームの大一番に複雑な感情でいる小さな自分も嫌で。特に早慶戦では、どうしてもスタメンになりたくてこだわって練習をしました。でもやっぱり思う通りに行かなくて、ベンチから試合を見守ることになりました。前日、応援に来てくれる家族や友達にバレーをしているところを見せられないことが申し訳なくて、両親の前で初めてバレーのことで泣きました。この1年バレーのことで楽しい!と思えた時間は正直あまり思い出せません。でも、人の温かさをひしひしと感じていました。早慶戦、出てもいない自分のことを必死に応援してくれて名前を叫んでくれた友達。紅芽さん、七海さん、朝子さん(2024卒)をはじめとした先輩方がいつも親身に話を聞いてくださってこの先輩方と一緒にコートに立ちたいと思わせていただきました。

4年生。ラストイヤー。
7人でのスタートでした。人がいない大変さはあったけど、先輩や後輩という垣根を超えた過ごした濃密な時間はとても良い思い出です。
部員全員がスタメン。4年生で初めてのスタメン。コート歴の長い同期後輩についていかなきゃいけない、と毎日必死でした。自分はチームに貢献できていないと思い、試合に出る人にはその人にしか持てない悩みがあるのだと初めて気づきました。でもコートに立つこと勝っていくことが何よりも嬉しくて、上手くなることとばかり考えていました。4年間で心に残っている試合はいくつかありますが、春リーグの対ウェルネススポーツ大学戦での勝利の瞬間は今でも思い出せるほど鮮明に残っています。
憧れの早慶戦。「本気で勝ちに行く」そう宣言して多くの方にサポートいただいて、早稲田に立ち向かいました。セットカウントだけで見たら0−3。それでも、大歓声の中早稲田を22点まで追い詰めたあの試合、「ここまで頑張ってきたのはこの日のためだった」そういう想いにさせてもらいました。

迎えた最後の秋リーグ。
私はスタメンになれませんでした。正直バレーが全く楽しくなってしまったし、モチベーションもありませんでした。早く引退したいって毎日思っていました。チームを鼓舞しなきゃいけない4年生の私と悔しい感情に支配されている私で毎日葛藤していました。

でもそんな中、私の頑張る原動力になってくれたのは同じBチームの後輩たち。「スパイク見ててください」と言ってくれる同じミドルの咲理奈(商1)、若葉(経1)や「いいトスだったよ」というといつも本当に嬉しそうな顔をしてくれる晴希(商1)。個人面談で自分が考えていることを沢山伝えてくれる優凜(総1)。ここで名前を挙げたのはほんの一部だけどみんなの頑張る姿にいつも元気づけられてました。
キラキラしている後輩を見て、私がこんな腐ってちゃダメだと思いました。4年生としてどんな状況でも、前を向き続ける姿勢をみんなに見せたい、見せなきゃと思わせてもらいました。そんな思いを持っていたからこそ桐蔭横浜戦、学芸戦、スタートで出場できて勝利に貢献できて本当に良かったと思います、この秋リーグ1番の思い出です。

後輩たちの中にも、自分のチームでの立ち位置や役割に悩んでいる子もいるかもしれません。そんなみんなにはこのブログを読んでほしいなと思います。頑張ってもどれだけ願っても叶わないこともあるし、自分のチームでの存在価値を見つけられないこともあるかもしれない。気持ちが落ちてもうどうでもいいやって思うこともあるかもしれない。でもどんな時でも、いつか自分が輝ける日がくるから諦めないでね。それは今考えていることとは違う形かもしれないけれど、きっと自分にしかできないことが見つかると私は思っています。

今年度、私にはもう一つの役割がありました。主務です。去年副務として朝子さん(2024年卒)の下について主務のお仕事があってはじめて部が回っていることを知りました。副務をやり始めた時は、なんか楽しそうというほんの軽い気持ちで始めた、はずでした。それが今年1年は、責任の重さで押し潰れそうな毎日を送ることになるとは全く思ってませんでした。体育館の申請が遅れたら男女共に練習できなくなる、とか今日の練習時間間違って送ってないかな、とか、この遠征先までみんな無事に来れるかななどなど。祖母が危篤になって、駆けつけた病院先でもメールを打っている自分に「こんな時に何をやっているんだろう」と思ったこともありました。ミスも数え切れないくらいしたし、その度に自分に失望しました。自分の後ろには誰にもいない恐怖で、本気で何度も逃げ出そうと思いました。

それでも逃げ出さなかった理由。それは、一緒に頑張る人、支えてくれる人、応援してくれる人がいたからです。

早慶戦を作り上げる姿を目の当たりにさせていただいた2023年度のマネージャー陣の先輩方は本当に頼もしかったですし、その熱量に憧れを抱かせていただきました。また、慶應バレー部という伝統ある組織を1番下から同時に1番先頭で引っ張る今年度のマネージャー主務の細野(経4)、河村(経3)、山木(文3)、美葵(商3)にも数え切れないくらいお世話になりました。早慶戦では、早稲田開催であっても「慶應バレーの魅力を伝える」と施策を考えるみんなの姿は、「スタッフって最高にかっこいい」と思わせてもらいました。

そして主務仲間のみんな。一緒にいると楽しくてくだらない話ばかりするけど、誇りを持って部を背負う、超超仕事人のみんなが心強くてかっこよくていつも背中を追いかけていました。たくさん助けてくれたみんながどれだけこのブログを読んでいるかわからないけど、みんなと主務業ができたことだけでも主務をやってよかったな、と思っています。

後輩ひとりひとりへのメッセージは手紙で書いたので書かなくてもいいかなと思いましたが、1人だけ。
美葵へ(商3)。
1年間支えてくれて一緒に仕事をしてくれてありがとう。美葵がいなければきっと私は仕事を全部投げ出してました。
主務には主務にしかわからない苦しさがあるし、でもその分誰よりも成長の機会はあると思っています。主務がいなければ部は動かない、だからとんでもない仕事量を1人でこなすことになるけどその努力が表に出ることは決してない。だから孤独に感じる時もあると思います。ある意味その孤独も仕事の1つかも。だからこそ、部を守り部を創る自分の立場とその決断に自信を忘れないでいてほしい。美葵は私が数々の失敗をしている姿を見て沢山学んでくれていると思います。「不安です」と言っているけど責任感の強い美葵ならきっと大丈夫。応援してます。そして頼んだぞ!!

その他にも本当に沢山の方にお世話になりました。

最後に自分たちの代に向けて。
特に今年は4人で乗り越えなければいけない山がいくつもあって、沢山泣いたし苦しんだ時間も多くありました。この1年にはもう戻りたくないと思うぐらいしんどかったです。でもその代わり私たちが手に入れたのは「各々が持つ強さを学年の勢いに変える力」だと思っています。
「早慶戦優勝」という目標を立てたことも異例でしたが、その本気度は早稲田と3回も練習を共にしたことにも表れていると思います。(早稲田の同期のおかげです、ありがとう!)
目標は達成できなかったけれど、自分たちが経験してきた4年間の中ではいちばんの成績を残せました。エリート選手が集まってる代ではないけれど、気持ちの強さとそれを反映することでチームを引っ張ってきたと思っています。

夏輝(政4)は誰よりも後輩想いです。1番後輩の成長を見ていたし、1番真剣に向き合っていました。もしかしたら後輩にとっては厳しい先輩だったかもしれないけど、それに裏打ちされた温かさがあると思っています。全体を統括しながら、1年生から3年生まで全員の後輩1人1人と向き合うことは容易ではありません。視野の広い夏輝だからなせることです。
11月にチームで決めた対人30連続のノルマ。最後のペアが夏輝でした。2回か3回やれば終わるかなとか思っていたのに、なぜか笑っちゃうくらい終わりませんでした。結局練習時間アフター含め40分以上対人をし続けました。私のコントロールが壊滅的で、沢山迷惑をかけたのに夏輝はずっと変わらずいてくれました。そして、その日の別れ際「なつ、お疲れ様」というと返ってきたのは「ありがとう。」バレーと仲間と本気で向き合っているからこそ出る言葉だと思いました。
誰よりも同期が好きなのに好きじゃないと言い張る、史上最高のツンデレです。

美祐(商4)は誰よりも芯が強い。今年の夏の柿崎2日目の夜、美祐が同期でよかった、一緒にミドルができて幸せだ、と改めて心から思いました。初心者で入ってきて、チーム事情で今年になってからミドルに転向して、ここでもまた沢山苦労して手に入れた成果を手放しで喜んでよかったはずなのに、まず私に向き合ってくれました。片方の喜びが片方の悔しさに直結することの多かった秋リーグ、美祐とだから文字通り切磋琢磨できました。これまで負けず嫌いな私は、切磋琢磨なんて綺麗事だと思ってました。でも、美祐とだからできたと思います。最後美祐が怪我をしてしまった時、文字通り絶望でした。代わりにスタートに立った順位決定戦、絶対美祐のために勝ちたいと思いました。人のために勝ちたいと思ったのは初めてでした。最後の1ヶ月のほとんどを美祐とプレーができなかったのは心残りだけど、絶対に美祐と立ちたかった最後の慶関戦で美祐がクイックを決めた瞬間は忘れられません。

そして莉子(商4)は誰よりも人を見てる。大学生活のほとんど毎日を莉子と過ごしました。何から語ればいいんだろうと思うぐらい一緒にいました。ピンサーになるためにアフターに誘ってくれたのも莉子。ギリギリの天才である一面はさておき(笑)バレーについて莉子がかけてくれる言葉は魔法でした。下級生のころから試合に出ていた莉子には何度もコートで待ってると言ってもらいました。莉子と一緒にコートに立つために4年間バレーに向き合い続けることができました。スタメンから外れてメンタルがどん底に落ちた状態で迎えた今年の誕生日。莉子からもらった手紙には「上がってくるまで待ってる。」私とコートに立ちたいって思ってくれる人がいるなら、頑張るしかないそう思えました。人の顔をよく見て、気持ちに気付くそんな莉子に私以外のみんなもきっと何回も救われたと思います。Team2024の看板を背負ってくれてありがとう。人の前に立つ主将という立場を担うに最も相応しい人です。

自慢の3人の同期です。ラストイヤーまで色んな問題を抱えていたけれど、4人で駆け抜けて来れて本当に良かったです。ありがとう。周りからは色々言われましたが、これで最後です。何も言わせないくらい自分たちのことを誇りに思いましょう!

さて、私は入部して最初のブログで、自身の入部を挑戦とし、「沖で最高の景色を見るため」に精一杯頑張る、と宣言しました。
4年後、やり切ったという達成感で引退の日を迎えました。うまくいかないことの方が多かったですが、慶應に入ってそして勇気を出してバレー部に入って良かったと心から思います。

Team2025のスタートです。
私たちが大好きすぎるあまりジュースを奢らせがちな倉員主将(商3)
クールなエースかと思いきやびっくりして大声を出す姿が面白い西村主務(商3)
縦割りなど何かと私と一緒のチームになろうとする中村副将(看3)
の3人の新4年生が作るチームに期待を寄せて、私のラストブログとさせていただきます。
長文にお付き合いいただいてありがとうございました。

4年間本当にありがとうございました。
今後とも慶應義塾体育会バレーボール部へのご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願いいたします。

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