男子

君はどうして体育館に行く

法学部法律学科4年  田鹿 陽大

日頃よりお世話になっております。法学部法律学科4年でアナリストを務めております、田鹿陽大と申します。
記録的な猛暑が続いた今年の夏。練習が終わった後の夜に、汗でぬれた肌を秋の涼しい風が撫でる瞬間に夏の終わりを感じると共に、秋の訪れを感じる日々を過ごしております。

最近、日々の生活に「最後の」という枕詞が付くようになりました。最後の春季リーグや最後の早慶戦、最後の秋季リーグ、そして迫る最後の全日本インカレ。このように「最後」という言葉がつく度に、今までの4年間で何が出来たのか、残された僅かな時間の中で何を成し遂げ、何を残せるのかについて考える時間が増えました。今回は、珍しく真面目に文章を書こうと思います。

いきなりですが少し昔の話をします。
私が入部した当時のスローガンは「昨日の自分を超えてゆけ」でした。今年のスローガンである「当たり前を超えろ」はこの「超えてゆけ」の部分から引っ張って来ようと同期の中で前々から決めていたものでした。それほど、この「超える」という言葉に惹かれた代だと私なりに考えています。

当時、練習に行くことやする事がとても楽しくて仕方がありませんでした。練習中も「昨日の自分超えてるか」と同期の内田(環4)と先輩後輩関係なく言っていた事を今でも覚えています。また、先輩たちとの自主練習の時間は私にとって特別なものでした。年齢もバレーボールのスキルも遥か遠くのような先輩方がそこではどこかいつもよりも優しい気がして、近くにいる様な感覚を覚えたからです。対等に話しをする中で多くの気付きや学びを得ることが出来ました。あの時間は技術も学年の垣根も「超えて」バレーに取り組んだ、今の自分を作っている大切な時間だといえます。

それを踏まえて皆さんに質問したいと思います。あなたは何故、今いる組織に入ったのでしょうか。何故私たちは数ある団体や部活動の中から体育会バレーボール部を選び、限りある時間を練習に費やすのでしょうか。読み進める前に、じっくりと考えてみてください。

そもそも私が体育会に入った理由というのは、濱本先輩(22卒)からアナリストをやらないかと誘われた事がきっかけでした。入部当初はこのような単純な理由でしたが、月日が流れる中でアナリストとして慶應を勝たせたい、この部の歴史に名を刻んでいきたいという想いが募り、その想いを心に刻んで今日まで活動してきました。慶應が一部昇格を決めた瞬間、5年ぶりの一部残留や全日本インカレで早稲田を追い詰めた瞬間。私はこの部活に入って良かったと心底思えました。辛く、苦しく悩む事も諦めそうになった事もあったけれど、このような素晴らしい出来事が私を奮い立たせ、今まで活動を続けさせてくれたのだなと思います。
こういった経験が私のモチベーションになったが故に、後輩たちに同じ様な経験を多くさせてあげられない事が悔しくて堪りません。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

こういった目に見える結果だけでなく、私が体育会にいる理由だなと思える学びがニつあります。一つ目は「こだわる力」です。
前回の活動日誌で、私の中でこだわる事とは「普通の人間が気に留めない事にまで妥協なく追求できる力」だと表現しました。技術面ではもちろんの事、準備や掃除であったり、審判や周りで他の人のプレーを見ている時だってこだわれる事があります。審判ならば、誰よりもルールに詳しくなり、吹笛する“間“が絶妙かつ、指先まで力が入った見惚れるような主審役を目指してみたり。練習に入れなくても練習中はチームに声で活気をもたらし、部に自分の気付きを共有してみたりと置かれた場所ごとにこだわりを持って過ごす事はいくらだって出来るのです。
そういった技術に関係のない気付きやこだわりが技術面でも生き、自分と人との信頼関係として返ってくるものだと実際に経験して学んだ事です。

二つ目は「常に1.1を出す」という事です。これには2つの意味があります。一つ目は日々1.1を積み上げる事で長期的に成長していく事。そしてニつ目の意味は、人から求められた“1“に対して”1.1“で返すという事です。一つ目は昨日よりも今日、今日よりも明日と成長していく事。パス一つとっても「昨日より1ミリだっていいから正確にパスを出そう。」、アナリストであれば「何か一つでもチームメイトの課題を見つけてやろう、新しい風をチームに吹かせてやろう。」こういった意識下の行動の積み重ねが、数か月後大きな変化となって現れると学びました。
二つ目は期待を超えるという事。このデータを出してくれと言われればそのまま数字で出すのではなくグラフや表にして提示したり、さらに関連している違ったデータを提示し意見を提案してみたりと、その人が求めていることの一歩先をいく事が大切だと学びました。人の期待の一歩先を行けば、こいつなら仕事を任せてもいいな、また頼みたいなと信頼してもらえるのです。日々、“1”を超えていく事の大切さを学んだ、これまでの3年と少しでした。

以上の事柄を踏まえ、私は体育会に入って1年時では想像もできないほど成長したなと感じます。ただ、それは単に体育会に身を置いているからではなく、そこで多くに気付き、考え、自発的に行動をしてきたからだと私は考えます。大事なのはそう、“超える”事。自分の役割、相手の期待、過去の自分、そして当たり前。何もかもを超え、高みに登れる環境がこの体育会にはあり、私たちが在籍する理由だと私の中で結論付け、行動してきました。
皆さんも”何故この道を選んだか”を自分に問いかけ、時間がかかってもいいから、自分なりの結論を探してみて下さい。
私は最後まで目的と今までの学びを忘れる事なく、自分の役割以上の力を発揮できる様に、今日も私は体育館に向かいます。

末筆になりますが、引退まで残り3か月を切りました。夏の練習は紆余曲折あったものの全員がスキルアップをし、チームとして結束力あるチームに仕上がったと自負しています。このチームなら必ずニ部で優勝を果たし、一部に昇格することが出来ると確信している次第でございます。

選手が怪我無く夏の練習を終え、無事秋季リーグを迎えられた事は当たり前ではないという事を再認識し、塾バレー部に関係する全ての方々に感謝を申し上げ、その慶びに応えられるように全力で戦い抜いていきたいと考えております。

これからも塾バレー部へ熱い応援の程、よろしくお願いいたします。

“君はどうして体育館に行く” への1件のコメント

  1. 大昭叔父 より:

    田鹿さん、昨日明治学院大学戦を観戦させていただきました。1セット·2セット目と続けて同点に持ち込まれても勝ちに繋げられたのは正に「常に1.1を出す」を体現されたのでしょう。1年生のゲームを楽しむ姿勢も清々しいものがありました。

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このページをシェアする

当サイトは、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。
推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。
セキュリティを向上させるため、またウェブサイトを快適に閲覧するため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。
このままご覧いただく方は、「閉じる」ボタンをクリックしてください。

閉じる