男子

氷との1ヶ月

商学部卒業生  三ツ井 梨々香

日頃よりお世話になっております。 商学部3年の三ッ井梨々香です。

先週末は、私にとってリーグ戦初の有観客試合を経験することができました。観客の皆様の目 の前で試合が開催できることへの喜びと、尽力してくださっている関東学連の方々への感謝の気持ちで胸がいっぱいです。 天候にも恵まれ、30度を超える暑さにもなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて本日は、私が成長したおよそ1ヶ月の出来事をお話しさせていただきます。 本塾バレー部には、ジェームズバッグと呼ばれる、アイシングに使用する袋と身体に袋を固定するためのラップを収納しているバッグが存在します。通称ジェムバと呼ばれるこのバッグの名前の由来が気になる部員は後を立たず、実際に私もそのうちの一人でした。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんが考案した袋であることから、その袋自体を保管しておく入れ物をジェームズバッグと呼ぶようになった、と先輩方から聞いております。練習でも試合でも、いかなる場面においても重要な役割を果たしているジェムバは、選手にとって欠かせないアイテムです。そんな強力な回復アイテム作りを担当することになったのは、今年度に入ってからのことです。 選手の協力のもと、ホワイトボードに名前と必要個数を記入してもらい、練習が終了するまでに 準備をしておきます。用意する個数は日によって大きく異なり、片手で数えられる日もあれば、2桁必要な日もあります。素手で氷に触れるこの作業は、特に量が多い日は凍傷していないかと心配になるほど、手の痛さとの戦いになっていました。しかし、およそ2週間を過ぎたある日のアイシング作りで、手を休めることなくジェムバに氷を入れ続けることが出来るようになっていた事態に気がついたのです。おそらく、手のひらがその冷えに慣れてきたのでしょう。そこからの毎日は、いかに一回で氷を多く掬えるか、ジェムバから溢さずに入れられるかを追究するようになりました。次の3週間で得た知識は、その日の氷の保管状態によって自身の氷の扱いを変える必要がある、というものです。保冷バッグに入れてあるものの、外の気温がある程度影響しており、全く融解が始まっていない場合もあれば、軽く溶けている場合もあります。粒子の細かい日吉記念館の氷は、少し水っぽくなっているだけで掴みやすさが格段に上がります。そのため、完全に冷え切っている際は、氷を掬うための凹みを最初に作成する必要性が出てくるのです。平面に手を突っ込んでも、凍っている氷はなかなか動きにくく、時間がかかってしまいます。1箇所がくぼむことで、そこを拠点にして容易に掬えることが発覚したのです。反対に、溶け始めている氷であれ ば、今度はその水っぽさに注意が必要です。掴みやすいものの、手からこぼれ落ちる可能性も上がっているからです。このように、いかに効率よく完成度を高めながらアイシング作りを行うかは、氷が鍵となってきます。氷の状態を見極めながら、その日の対応を変える。つまり、氷との対話が成長への大きな一歩となっていたのです。加えて、ジェムバの封を閉じる際には、空気を抜く必要があります。身体にフィットさせやすくするための工夫です。一般的にはストローを用いて空気を抜きますが、アイシング担当1ヶ月を経た私は、そこにおいても上達をしました。主に日吉記念館のような形状の氷が専門となりますが、ストローを使用せずとも密閉させることが出来るまでに成長をしたのです。これも、氷を知ることで得られた技術です。 ここまで長々とアイシングについてお話しさせていただきましたが、この成長によって、結果として日々のアイシング作業のスピードが格段に増したと実感しております。本格的に暑さが続くようになったり、厳しい寒さに震えたりする日々であっても、タイムパフォーマンスを高められるよう今後も前進してまいります。

春季リーグ戦も残り3戦となりました。まだまだ勢いを落とさず、慶應らしいバレーで勝利を掴めるよう、チーム一丸となって臨んでまいります。 引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。

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