男子

失敗と挫折

文学部4年  山木 柊

失敗と挫折

日頃よりお世話になっております。文学部4年の山木柊と申します。
残暑の候皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回の活動日誌では、この夏に私に起きた変化について書かせていただこうと思います。

高校の部活で終わることに満足できず、自分がバレーボールでどこまでの選手になれるのかが知りたくて、久保田(商4)と迷わずに部の門を叩いたあの時からあっという間に時間は流れ、大学生最後の夏休みももう折り返しというところまで来てしまいました。
この夏私は、バレーボールのことしか考えていなかった大学1年生の時からは想像もつかなかったような生活を送っています。昔の私が一番想像できていないであろうことは、私が4年生の夏に選手を引退していることでしょう。自分のプレイヤーとしての限界を知りたくて入部したわけですから想像できるはずがありません。できていたら入部はしていないでしょう。
私はこの夏、7月6日の練習を以て選手としての活動を引退し、主務としての活動のみを行っております。悔しさの残る決断ではありましたが、全ては目標とする進路のためです。引退するまでの約半年間、練習時間は選手として練習し、その前後の時間を使って主務としての仕事を行い、空いた時間で進路ための準備を進めるという生活を送ってきましたが、その準備が思うように進まず今回このような判断をすることになりました。
正直、昨年12月の納会で主務を拝命してから選手を引退するまでの8ヶ月間は人生で一番苦しくて、長く感じる時間でした。もし100回同じ人生をやり直せるとしても、この道は一度も選ばないと思います。恨み節のようになってしまいましたが、実際はこんな経験ができて幸せだとも思っています。
そもそも、絶対に経験しない方がいいことなんて、犯罪以外に一つもありません。その上で他の誰も経験することができないことを8ヶ月もできたことはこれからの人生で私の糧になることは間違いありません。

この8ヶ月間、私の目標は選手、主務、勉強の三足の草鞋を履き切って納会を迎えることで、毎日がその目標のための戦いでした。8ヶ月前の私ができると判断した選択ですが、完全に私の負けです。気の利いた言い訳の一つも出てきません。これが私の人生で初めての挫折です。
人生初の挫折なんて言うと「楽で順風満帆な人生を送ってきたんだ」と思われる人もいるかもしれません。もちろん私はなんでもできるような優秀な人間ではないし、失敗だってたくさん経験してきました。「慶應義塾体育会バレーボール部主務」という今の結果の裏に、楽しいことなんて一つもありません。
ただ、自分の無力さをどれだけ痛感されられようと、どれだけ失敗をしても、これまでの人生で一度として「自分にはできない」と思ったことはありませんでした。「自分ならできる」「自分にしかできない」と信じ続け、逃げずにやってきた結果が今の私を作っています。

さて、私たち塾バレー部は春リーグで悔しい思いをしてきました。
これは結果として成功か失敗かで言えば失敗なのでしょう。しかし、私から見るみんなは決して挫折していません。この夏、「自分たちならできる」「自分たちにしかできない」と信じ続けて練習してきたみんなが、秋リーグのコートで活躍してくれることを楽しみにしています。

春の敗者にしか与えられない「敗北」という経験を、糧にできたのか、どう糧にしてきたのか、今見せる時が来ました。

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