日頃よりお世話になっております。
経済学部2年の林賢治です。
あらゆる競争や競技シーンにおいて、一番大切なことは何か。それは、本番で実力を発揮することです。例えば、県内で優勝し春高への出場権を得た高校チームが、春高の大舞台に立った途端、普段ならありえないようなミスをしてしまうなんてことはよくあります。
いくら練習でいいプレイができても、本番でそれを発揮できなければ何の意味もありません。では試合本番、ここぞという時の土壇場では、どうしたら普段通りに力が発揮できるのでしょうか。そもそもなぜ我々は、練習ではできているはずの動きを本番で実践しづらいのでしょうか?
その理由は、心身の状態にあります。普段と大会本番での心身の状態は全く異なります。具体的にいうと、血液中のホルモンバランスが両者で異常に異なるのです。本番中は普段の練習とは異なり、アドレナリンをはじめ、人によっては各種のストレスホルモンが大量に分泌されます。これは闘争逃走反応と呼ばれるもので、身体や脳の反応に大きな変化が生じます。
心拍数は上昇し、呼吸は浅く速くなります。脳の思考回路は急加速し、感覚は研ぎ澄まされます。そして、反応速度は向上しますが、複雑な思考能力は鈍化します。各種内臓への血流は低下し、人によっては腹痛や嘔気を惹起します。また、血流は大きい筋肉に集中し、手先や表皮の血流は低下するため、手足は冷たくなります。大きなパワーは発揮しやすくなりますが、筋肉は緊張し、身体を細密に制御できなくなって、場合によっては手足が震えます。
上記の身体反応、闘争逃走反応は、重要な局面であればあるほど大きな反応として現れます。この反応により、身体の制御は乱れ、普段の練習ではありえないようなミスをしてしまうのです。逆にこの身体反応による、反射スピードやパワーの限界突破を上手くコントロールできれば、普段の練習以上のパフォーマンスを発揮できることもあるでしょう。繊細な動きを制御する種目なら、できるだけ身体の制御が乱れないようにしつつ、研ぎ澄まされた感覚を利用することで、より緻密で豊かな表現ができることもあるでしょう。
ではどうすればこのホルモンの働きによる闘争逃走反応を上手くコントロールして、本番でのパフォーマンスを向上させることができるのでしょうか?それは、何度も何度もそのホルモンバランスを経験するしかないのです。つまり、何度も本番を経験するしかないということです。しかし、そのような貴重な経験は滅多にできるものではありませんし、練習試合を多く組めているような恵まれているチームでも、基礎練習をやっている時間の方が絶対に長いです。従って、「練習を本番のように、本番を練習のように」やる意識を持つことが、上述した身体反応に慣れるうえで一番効果的です。普段の練習で、より大会本番に近い心身の状態を作り出した者こそが、より高いパフォーマンスを発揮できるのです。
我々慶應バレー部は、常に全員が本番であるという意識で練習を行っています。好きな人が自分の練習している姿を見に来ていると想像をしながら練習する者もいれば、単に大会本番でマッチポイントを相手に握られている状態を想像しながらプレイする者もいます。我々はこのように、練習を本番のように、本番を練習のように取り組んでいくことで、ここぞという時に最高のプレーができるよう日々邁進しているのです。そして、そんな我々をぜひリーグ戦にて見に来てくださるとありがたいです。
乱文失礼致しました。
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